このイベントもついに4回目です。来てくださっている学生の皆さま,出展してくれているゲーム会社の皆さま,今回も本当にありがとうございます。
前回,「もう新しく書けるコメントなんて何もありません」と書いたんですが,はい,4回目でもやっぱり何もありません。しかし営業担当から「いいからなんか書いてください」「岡田さんが書かないと宮崎さんが書いてくれません」と言われているので,頑張って書きます。
さて,前回から今回までの間に,ゲーム業界はなかなかに激動の時を過ごしました。
まず何といっても「GTA VI」の11月発売でしょう。度重なる延期を経てようやく具体的な日付が出てきたわけですが,その影響たるや,業界全体が「うちのタイトルの発売日どうしよう」と右往左往するほどで,1本のゲームが全世界を振り回すさまは,改めてこの業界のスケールを感じさせてくれます。
一方で世界のゲーム業界に目を向けると,ちょっと胸が痛いニュースも続いています。Epic Gamesが1000人以上のレイオフを発表し,Microsoft傘下のスタジオでも大規模な人員削減が相次ぎました。AAAタイトルのスタジオに勤務する人の3分の2が,自社でレイオフを経験しているというアンケート調査もあって,欧米のゲーム業界はまさに嵐の中にあります。
しかし。
日本のゲーム業界はどうかというと,実はこの世界的なレイオフの嵐の中で,ほぼ唯一といっていい“例外”になっています。大規模な解雇がほとんど聞こえてこないどころか,「人を切るのではなく育てる」という姿勢を多くの会社が貫いています。故・岩田聡さんがかつて株主総会で,レイオフされるかもしれないと不安を抱えた社員が,世界中の人を感動させるソフトを作れるとは思えないという趣旨のスピーチをしたことがありますが,その精神は今もこの業界に脈々と受け継がれています。これは日本のゲーム業界の美点であり,強みです。
もちろん,それをもって日本のゲーム業界が楽園だということではないし,課題は山のようにあります。生成AIの波はゲーム開発の現場にも確実に押し寄せていて,それをどう使いこなすかが今後の大きなテーマになるのは間違いありません。前回の宮崎さんのコメントでも触れていましたが,AIは確かにすごい。でも,人の心を震わせるゲーム体験を「設計」できるのは,やっぱり人間なのです。AIが書いたシナリオで泣いたことがある人,いますか? いないでしょう?(いたらごめんなさい)
世界のゲーム市場は,2030年に3500億ドルに届くと言われています。業界の構造自体が「ゲームを売る」から「体験を運営する」へと大きく変わりつつある過渡期です。かつてないほどのカオスですが,前回も書いたとおり,カオスな時代に飛び込むのは幸せなことです。敷かれたレールの上を歩くより,自分で道を作るほうがずっと面白いに決まっている。若い皆さんならきっとそう思ってくれるはずです。
このキャリアクエストで,いい出会いを見つけてもらえたら,と心から願っています。日本のゲーム業界は皆さんを必要としているし,皆さんを受け入れる余裕も覚悟もあります。世界が右往左往している今だからこそ,日本から世界をひっくり返す何かを作るのは,この文章を読んでいる皆さんのターンです。
……ところで全然関係ないんですが,前回「イードの宮川社長と宮崎さんとで次は○○をやろうかという話で盛り上がった」と書いたアレは,まだ何も進んでおりません。もしかして永遠に進まないの? > 宮崎さん














兼 4Gamer.net編集長
岡田和久